コンタクトをつけているとよく目が充血するという方も多いのではないでしょうか。コンタクトをつけていると、さまざまな理由から目が充血しやすくなるのは事実。
そこでこの記事では、コンタクトで充血する原因や対処法、予防法について詳しく解説します。
充血が起こる原因とは?
白目にも血管が通っているのですが、目の血管は細いので普段は見えません。しかし、何らかの原因で血管が膨らむと赤く見えるようになる、というのが充血のメカニズムです。
充血のタイプ
充血には、結膜充血と毛様充血の2種類があります。
結膜充血は、白目の周辺が赤くなるタイプで、アレルギー性結膜炎や、ウイルスや細菌が原因となる感染性結膜炎で起こることがあります。一般的にイメージする充血はこちらです。
一方、毛様充血は、角膜の周りに青紫色っぽい充血が生じる状態で、ぶどう膜炎や急性閉塞隅角緑内障などの病気が原因で起こることがあります。
また、他にも、結膜下出血と言って、目の表面の血管から出血することもあります。白目がべったりと赤くなるのが特徴で、毛細血管が切れたり、結膜炎に合併して起こったりするものです。
コンタクトで充血する原因①コンタクトに異物や傷がついている
ここからは、コンタクトで充血する原因を1つずつ見ていきましょう。
まずは異物です。目やコンタクトに汚れなどの異物がついていたり、コンタクトに傷がついていると、充血することがあります。
また、異物やコンタクトの傷などによって目が傷つき、感染症などの目のトラブルにつながり、それが充血を引き起こすことも考えられます。
コンタクトで充血する原因②コンタクトが劣化・変形している
コンタクトの劣化や変形によって充血することもあります。
コンタクトが劣化すると、酸素が通りづらくなってしまい、目が酸素不足になって充血することが考えられます。変形や破損も、目を傷つけたり圧迫したりして、眼障害や充血につながることがあるでしょう。
なおコンタクトが変形したり破損したりする理由としては、使用期限を守らずに使っている、爪で傷をつけた、洗浄時に強くこすり洗いしすぎたといったことが挙げられます。
コンタクトで充血する原因③コンタクトが目に合っていない
コンタクトの曲面の曲がり具合(ベースカーブ)が合っていないと充血につながることがあります。
ベースカーブは「BC8.3」、「BC9.0」のように表記されており、BCの数値が小さいほど曲がり具合がきつく、大きいほど曲がり具合が緩やかになります。
目に対してベースカーブが小さすぎると圧迫感を感じる、目に貼りつく、充血するなどの症状が出ることがあります。逆に大きすぎてもズレやすくなり、眼を傷つける原因となるので、適したサイズのものを使うことが大事です。
自分に合ったベースカーブは、眼科で検査してもらって知ることができます。
また、度数が合っていないと眼精疲労につながることもあります。(詳しくは後述します)
コンタクトで充血する原因④目の酸素不足
コンタクトを長時間つけていると、酸素不足で充血することがあります。
目の角膜は、涙を介して空気中の酸素を取り入れ、呼吸しています。しかし、コンタクト目が覆われると、涙の中の酸素が不足し、目が酸素不足になるのです。そして、酸素を取り込もうとするために血管が広がり、充血が生じます。
酸素不足に陥った角膜は傷つきやすく、感染症にかかりやすく、最終的に目の障害も引き起こしやすく、痛みの原因になることもあります。代表的なものとして、角膜びらん、角膜新生血管などが起こることがあります。(詳しくは後述します)
コンタクトで充血する原因⑤目の乾燥
目の乾燥も充血の原因になりえます。さらに、乾燥が原因で角膜に傷がついていると、コンタクトをつけた時に痛みを伴う異物感や、しみるような痛みなどを感じることもあります。 目が乾燥している場合は、ドライアイの可能性もあるでしょう。(詳しくは後述します)
コンタクトで充血する原因⑥眼精疲労
目を使うと目が疲れ、疲れすぎると肩こりや頭痛など、全身にも症状が及ぶことがあります。これを眼精疲労といいます。眼精疲労になると、充血することがあります。
なお、眼精疲労の主な原因は、パソコンやスマホの長時間使用など、目を使いすぎていることです。コンタクトの度数が合っていないことも原因となりえます。
コンタクトで充血する原因⑦紫外線
長時間紫外線を浴びると、炎症によって充血することがあります。しかし、コンタクトにはUVカット機能がついているものもあるので、むしろコンタクトによって紫外線による充血を防げる可能性もあります。
コンタクトで充血する原因⑧眼障害
ソフトコンタクトの使用中に充血する場合、乾燥感やゴロゴロ感、かゆみ、目ヤニなどの症状を伴うことが多いです。この場合は病気(眼障害)の可能性が高いです。
例えば、どのような病気が考えられるか見ていきましょう。
ドライアイ
ドライアイは、目の結膜・角膜が慢性的に乾燥する病気です。主に目を長時間酷使する、周囲が乾燥しているなどが原因で起こります。ドライアイになると、下記のような症状が出ることがあります。
- 目が乾いてヒリヒリする
- 目がゴロゴロする
- 目が開きにくくなる
- 目が疲れる
- 目が充血する
目の表面は涙の膜で守られていますが、コンタクトを装着すると涙の膜がレンズの裏側と表側に分けられて薄くなってしまうため、ドライアイが悪化する恐れがあります。
アレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎は、花粉やハウスダストなどのアレルゲンが目に付着した際、免疫細胞が過剰に反応して結膜に炎症を起こした状態のことです。アレルギー性結膜炎になると、下記のような症状が出ることがあります。
- 目がかゆくなる
- 目が充血する
- 目やにが出る など
アレルギー性結膜炎の症状が出ているときにコンタクトを装着すると、まぶたの裏側の粘膜とコンタクトがこすれて炎症を悪化させるため、コンタクトは使えません。
感染性角膜炎
感染性角膜炎は、角膜についた傷に細菌やカビなどが感染して起こる疾患です。手で目を強くこすったり、コンタクトによって角膜に細かな傷がついたりすると感染しやすくなります。たとえば細菌が感染すると、下記のような症状が出ることがあります。
- 目がゴロゴロする
- 目に強い痛みを感じる
- 目が激しく充血する
- 視力低下(見づらくなる) など
また、コンタクトをきちんと消毒しなかったり水道水で洗ったりすると、水道水の中に存在するアカントアメーバに感染し、アカントアメーバ角膜炎を発症することがあります。
アカントアメーバ角膜炎を発症すると、目の充血や異物感、視力の低下などの症状が出ることがあるほか、角膜潰瘍を合併すると失明するリスクがあります。
巨大乳頭性結膜炎
巨大乳頭性結膜炎は、アレルギー性結膜炎が悪化して発症する病気です。主な原因はコンタクトに付着したままのアレルゲンやたんぱく汚れですが、目の手術で使用された糸などの物理的刺激が原因になるケースもあります。
巨大乳頭性結膜炎になると、上まぶたの裏にブツブツができるほか、下記のような症状が出ることがあります。
- 目がかゆくなる
- 目が充血する
- 目やにが出る
- 目がくもる など
また、まぶたの裏側のブツブツが原因でコンタクトをつけたときに違和感を覚えたり、コンタクトが上にズレやすくなったりすることもあります。
点状表層角膜症
点状表層角膜炎は、角膜のあちこちが点状に損傷したり欠損したりする病気です。ウイルス性結膜炎やアレルギー性結膜炎、ドライアイなどさまざまな病気が原因になるほか、長時間コンタクトを装着し続けたことで起こることもあります。点状表層角膜症になると、下記のような症状が出ることがあります。
- 目がゴロゴロする
- 目が充血する
- 光がまぶしく感じる
- 涙目になる など
点状表層角膜症の原因となった病気によって、症状の種類や程度が変わります。
角膜上皮びらん
角膜上皮びらんとは、角膜表面の上皮の一部が取れた状態(びらん)のことです。主に目に異物が入ったり、長時間コンタクトを装着し続けたりしたことが原因で起こります。角膜上皮びらんになると、下記のような症状が出ることがあります。
- 目がゴロゴロする
- 目が充血する
- 目に痛みを感じる
適切に治療すれば数日で症状が治まりますが、数週間〜数ヶ月の間に何度もびらんを繰り返す「再発性角膜上皮びらん」になるケースもあります。再発性角膜上皮びらんは、通常の角膜上皮びらんよりも痛みが強い傾向にあります。
角膜血管新生
角膜血管新生は、本来血管が存在しないはずの角膜に、血管が伸びてきている状態のことです。コンタクトをつけたまま眠るなどすると、目が酸素不足に陥ります。すると、何とか酸素を取り入れようと結膜から角膜に血管が伸びてくるのです。角膜血管新生になると、下記のような症状が出ることがあります。
- 角膜が白濁する
- 視力が落ちる
角膜血管新生が重症化すると失明するリスクもあります。
角膜潰瘍
急に目が充血したり痛みが出たりした場合は、角膜潰瘍の可能性があります。角膜潰瘍とは、角膜が奥深くまで傷ついた状態のことです。
主な原因は細菌感染や角膜上皮びらんを放置したことなどで、とくに2weekのコンタクトの期限を守らず3〜4週間使い続けた場合に発症するケースが多いといわれています。角膜潰瘍になると、下記のような症状が出ることがあります。
- 目に強い痛みを感じる
- 目が激しく充血する
- 目やにが出る
- 角膜が濁る など
重症化した場合は、治療が終わっても角膜の濁りが残ったり失明したりするおそれがあります。緊急を要するので、すぐに眼科を受診することが重要です。
輪部フリクテン
急に目の充血と痛みが発生した場合は、輪部フリクテンの可能性もあります。輪部フリクテンは、角膜と結膜の境目が細菌に感染して発症する疾患のことです。
角膜潰瘍と同じく、2weekのコンタクトの期限を守らず3〜4週間使い続けた場合に起こることが多いとされています。輪部フリクテンになると、下記のような症状が出ることがあります。
- 目に強い痛みを感じる
- 目が激しく充血する
- 光がまぶしく感じる など
輪部フリクテンも急いで治療する必要があるため、目に強い充血や痛みなどが起きたら、すぐに眼科を受診しましょう。
ぶどう膜炎
ブドウ膜炎は、眼球を構成する3層の膜のひとつであるブドウ膜に炎症が起きる疾患です。ブドウ膜には虹彩・毛様体・脈絡膜の3つの組織があり、このうち虹彩に炎症が起きている場合は虹彩炎と呼ばれることもあります。
ブドウ膜炎は免疫異常や細菌感染などによって発症することもありますが、原因不明のケースも少なくありません。ブドウ膜炎になると、下記のような症状が出ることがあります。
- 目が充血する
- 目に痛みを感じる
- 光がまぶしく感じる
- 虫が飛んでいるように見える(飛蚊症) など
ほとんどのコンタクトで、ブドウ膜炎を発症している人の使用が禁止されているため、治療が終わるまではメガネをかける必要があります。
結膜下出血
結膜下出血は、目の血管が損傷して内出血を起こしている状態のことです。目を怪我したときや、重いものを持ち上げるなどして圧力がかかったときなどに結膜下出血が起こる場合があります。コンタクトレンズの装着や脱着時に結膜をつまんでしまうと起こることもある。結膜下出血になると、下記のような症状が出ることがあります。
- 異物感が出る
- 白目の一部または全部が真っ赤になる
- 数日してから目の周囲にアザができる など
結膜下出血はほとんどの場合無害で、治療をしなくても2週間ほどで自然に消えていくことがほとんどです。ただし、一度治ってもくり返し起こることもあります。
コンタクトによる充血の対処法
ここからは、コンタクトをつけているときに充血してしまった場合の対処法を解説します。
コンタクトをはずす
コンタクトは目の乾燥の原因となったり、目の負担となったりするため、充血したらコンタクトを外してメガネに変えるなどの対応を取りましょう。
なお、1dayのコンタクトは一度外したら使えないので注意してください。1dayでなくても、外したらケアが必要です。
まばたきを十分にする
まばたきすると涙が目全体に行き渡り、乾燥が緩和されます。目は涙から酸素を取り入れ、老廃物を排出しているので、酸素不足の方にとってもまばたきは大事です。
まばたきするときは、しっかり目を閉じ、深いまばたきをすることを心がけましょう。
ただし、目に異物が入っているとまばたきによって痛みが悪化することがあるので、この場合はすぐに眼科を受診してください。
目薬をさす
充血に効果が期待できる目薬を使うのも一つの方法です。この場合は、血管収縮剤の入っていないものがよいでしょう。血管収縮剤には充血を一時的に抑える効果がありますが、使い続けることによって効果が薄れてしまったり、かえって充血が生じたりするう場合があるためです。
また、紫外線が原因の場合は、グリチルリチン酸二カリウムや、イプシロンーアミノカプロン酸といった炎症を抑える成分が入った目薬を使用するとよいでしょう。目に汚れが入った場合も、目薬で洗い流すことができます。
ただし、コンタクト使用時は使えない目薬が多いため注意してください。一般的な目薬ではなく、人工涙液(涙に近い成分の液体)の選択肢もあります。
眼科を受診する
充血が数日続くような場合は、感染症や目の病気の可能性もあるので受診しましょう。明らかに目に異物が入っている場合は、まばたきによって痛みが悪化することがあるので、すぐに眼科の受診をしてください。
眼科では、適切な治療を受けたり、使っている度数のコンタクトが適切なものか確認してもらったりすることができます。
なお、充血の原因によっては、治るまでコンタクトがつけられない可能性もあります。眼科に行くときはメガネを持参するのがおすすめです。
コンタクトによる充血の予防法
最後にコンタクトによる充血の予防法も見ていきましょう。コンタクトをつける場合は、日ごろから以下のようなことを心がけてください。
コンタクトのケアをきちんと行う
1day以外のコンタクトは毎日ケアをして汚れを取り除く必要があります。ただし、必要以上にごしごしこすると傷や破損の原因になるのでやさしく洗いましょう。
コンタクトの使用期限を守る
コンタクトには使用期限や、開封後の使用期間(1day、2weekなど)が決められています。期限を過ぎたものを使うと劣化していたり、変形したりするリスクもあるため、決められた期限、期間を守って使いましょう。
1dayは1日(1回)で使い捨てにし、2weekや1monthは決められた期間を超えて使わないでください。
1dayコンタクトを複数日使わない
1dayタイプを、2weekや1monthに対して使うケア用品できれいにして、複数日使うのは絶対に辞めましょう。感染症の原因となります。
コンタクトを長時間つけすぎない
長時間の装着は目の疲れや酸素不足の原因となります。コンタクトには適切な装着時間が決められており、最初に眼科で指示されることが多いです。その時間を超えてコンタクトをつけないようにしましょう。
また、必要がないときにはコンタクトをつけない心がけも大事です。たとえば近視の方は、読書などの近くを見る作業が多い日は裸眼にし、遠くを見る必要がある日はコンタクトをつけるのがおすすめです。
眼精疲労の予防をする
眼精疲労は予防が大切です。スマホやパソコンの不要な長時間使用は避け、長時間にわたって使わなければならないときは、時々休憩をはさみましょう。
また、適切な度数のコンタクトをつけるのも大事です。遠視の方は遠視用、乱視の方は適切な度数の乱視用コンタクトをつけてください。
UVケアをする
スキー場や海水浴場などたくさん紫外線を浴びる場所に行くときは、サングラスやゴーグル、帽子を使い、目に紫外線が当たらないように予防しましょう。UVカット機能のあるコンタクトを使う選択肢もあります。
食事や休養をしっかりとり、規則正しい生活を心がけることも大事です。目に栄養を与えたい場合は、パンテノールやタウリンといった成分が入った目薬を使う選択肢もあります。
ただし、コンタクトを使っているときには使えない目薬も多いので、確認してから使いましょう。
コンタクトレンズを安全にご使用いただくために
- 眼科医より処方、指示を受け、それをお守りください。
- 製品に添付されている使用者向け添付文書を必ず読み、熟知ください。
- 装用時間、装用サイクルをお守りください。
- 取扱方法等を守り正しくご使用ください。
- 定期検査を少なくとも年に1回以上お受けください。
- 眼科医の処方、指示に基づき購入するよう努めてください。
- 少しでも異常を感じたら直ちに装用を中止し、眼科医の検査をお受けください。
- 破損等の不具合があるレンズは絶対に使用しないこと