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乱視の原因とは?メカニズム・注意すべき生活習慣を詳しく解説!

07 May, 2024 10946

乱視とは、目の屈折異常の一種です。目の中で正しく焦点が合わなくなり、物がぼやけて見えたり、文字が二重に見えたり、夜間の視力低下などが生じたりします。

では、乱視の原因にはどのようなものがあるのでしょうか。乱視のメカニズムと、普段の生活の中でありがちな原因、乱視が進行する原因などについて詳しく解説します。

乱視の原因【メカニズム編】

目は、角膜(黒目の部分)と水晶体(眼球の中の透明な組織)がレンズの役割をし、外から入ってきた光を屈折させてピントを合わせています。

乱視の原因は、角膜か水晶体のどちらかの形状が不規則になっていることです。形状が不規則になっているとピントがしっかりと合わず、乱視の症状が現れるのです。

角膜や水晶体の形状が不規則になる原因は、生活習慣、病気、先天的なもの、加齢などが挙げられます。

なお、角膜や水晶体が完全な真円である人はほぼいません。そのため、程度の差はあれど、誰しも多少の乱視を持っているとされています。

正乱視

乱視は、正乱視と不正乱視の2種類に大きく分けることができます。
正乱視とは、角膜や水晶体が縦や横、斜めのいずれかに傾き、焦点を合わせるのが困難な状態のことです。乱視に悩む人の多くはこちらのタイプだと言われています。

不正乱視

不正乱視は、角膜自体に異常があるタイプ。角膜の表面に凹凸やゆがみが生じ、焦点が合わなくなる状態のことです。
片目を閉じて物を見た時に、物が何重にも重なって見える場合は不正乱視の可能性が高いです。
不正乱視は、正乱視とちがって眼鏡やソフトコンタクトで改善することができません。矯正する際は、ハードコンタクトや手術が必要となります。

乱視の原因【生活習慣編】

ここからは、普段の生活の中でありがちな乱視の原因を紹介します。

パソコン・スマホ・テレビ・ゲーム

パソコン、スマホ、ゲーム、テレビなどを長時間見続けたり、暗いところで見たりすると、目のピントを合わせる筋肉に負担がかかり、目が疲れてしまいます。そうなると、乱視のような症状が出ることがあります。
これは一時的なものですが、目が疲れて見づらいから目を細める、ということが多くなると、そのまま乱視になることもあるので注意が必要です。

目をいじる

目をこすったり、うつぶせで寝たりするなど、目を押し付ける動作をすることが多い方も注意が必要。このような動作は目の負担となり、乱視の原因となります。

乱視の原因【その他】

その他に、外傷や病気、加齢、遺伝などが原因で乱視になることもあります。

外傷

外部からの衝撃などによって角膜が傷つくと、角膜にでこぼこやゆがみが生じ、乱視(不正乱視)になることがあります。
角膜の炎症や目の手術が原因となったり、さかさまつげによって角膜に傷がつき、炎症して乱視になったりすることもあります。

病気

以下のような病気で角膜に異常が生じて乱視につながったり、乱視のような症状が出たりすることもあります。

  • 円錐角膜:角膜が薄くなり、眼圧によって角膜が前に突出する病気
  • 角膜炎:ウイルスや細菌感染などが原因で、角膜に炎症が起こった状態
  • 角膜混濁:外傷や炎症などが原因で、角膜が濁った状態
  • 翼状片:白目の組織が黒目(角膜)の中心に向かって進入する病気
  • 白内障:年齢とともに水晶体が白く濁り、視力が低下する病気
  • 水晶体亜脱臼:病気や外傷、加齢などが原因で、水晶体を支える組織が切れたり弱くなったりし、水晶体の位置がずれてしまう病気

加齢

年齢を重ねるとピントを合わせる調節力が低下したり、水晶体の形状が変化したりすることで乱視になることがあります。

遺伝

角膜や水晶体の性質は遺伝するとされています。つまり、遺伝的に乱視になりやすい人がいると言えます。

先天的なもの

遺伝によって先天的に乱視となる人もいます。また、お腹の中にいるときの状態や、出産時の状況によって、生まれた時から(後天的に)乱視になるケースもあります。

乱視のような症状が出る原因は?

中には、乱視ではなく、乱視のような症状(ぼやける、物が二重に見えるなど)が出ているケースもあります。原因として、以下のようなものが挙げられます。

  • 目の疲れ
  • 視神経の異常
  • 目を動かす筋肉の異常
  • 脳の病気
  • ストレス など

乱視が進行する原因は?

乱視を対策せずに放置すると、乱視が進行することがあります。乱視の進行の大きな原因は、眼鏡やコンタクトで矯正しないまま放置すること。

乱視の状態で物を見続けることで、目に負担がかかります。また、見えにくいからといって目を細めて見ることが癖になっていると、圧迫によって角膜のゆがみがより大きくなります。さらに、目に負担がかかることで筋肉が緊張し、角膜の変形にもつながります。

乱視を放置すると、上記のようなさまざまな理由で乱視の進行につながるため、見えにくいと思ったら早めに眼科を受診するなどの対応をとることが大事です。

乱視かどうか確認する方法は?

乱視かどうか確認するためには、まず眼科を受診する必要があります。

また、乱視は早期発見・早期治療が大事なので、定期的に眼科受診をするとなおよいでしょう。

なお、乱視のような症状が出る病気もあるため、自己判断は危険です。違和感があれば早めの受診を検討しましょう。

乱視の治し方は?

乱視になった場合の主な対処法には、コンタクト、眼鏡、手術の3つがあります。それぞれについて詳しく解説します。

乱視用のコンタクトを使う

コンタクトにも乱視用のものがあるので、それをつけるのが1つ目の方法です。

眼科で処方箋(装用指示書)をもらい、適切な度数やサイズのものを購入しましょう。目に合わないものをつけると、目の疲れ や不快感につながるため、必ず眼科でサイズなどを調べてもらってください。

なお、角膜の表面に異常がある場合(不正乱視の場合)は、ソフトコンタクトレンズでは矯正できないので、ハードコンタクトを使うのが一般的です。

また、コンタクトは角膜に炎症などが起きている場合はつけられませんが、眼鏡と比べると、全体の見え方が矯正され、ストレスが少ないというメリットがあります。

乱視用の眼鏡を使う

眼鏡にも乱視用のものがあります。主なメリットは、角膜に炎症などが起きていても使えることと、手入れ、付け外しがしやすいことです。

目に合わないものをかけると目の疲れや不快感につながるため、眼科で適切な度数を測ってもらうことが大事です。

なお、不正乱視の場合は眼鏡では矯正できないので、ハードコンタクトを使う必要があります。

手術

レーシック、ICL等の手術で視力を矯正する方法があります。

レーシックは、角膜をレーザーで削り、角膜の形状を変えることで視力を回復させる手術です。一方、ICLは眼内コンタクトレンズとも呼ばれ、名前の通り、目の中にレンズを埋め込む手術です。

いずれも半永久的に視力が回復するのが大きな特徴ですが、費用がかかることや、体に負担がかかること、手術にはリスクもあることなどがデメリットとなります。

なお、不正乱視の場合、ハードコンタクトでも矯正できないときは手術が選択肢となります。

乱視の原因に関するQ&A

最後に、乱視の原因にまつわるさまざまな疑問にお答えします。

スマホやパソコンを見すぎると乱視になる?

スマホやパソコンの見すぎが目に悪いことは知られていますが、見すぎるだけで乱視の直接的な原因になることはありません。

しかし、暗い中で見たり、長時間見続けていたりすると、ピントを合わせるための筋肉に負担がかかり、乱視のような症状が出ることがあります。そして、目が疲れて見づらくなり、目を細めることが多くなると乱視になることもあります。

車の中で本を読むと乱視になる?

「車などの揺れる乗り物の中で本を読むと乱視になる」と言われることがあるようです。しかし、それだけで角膜や水晶体がゆがむことはないので、乱視の直接的な原因にはなりません。

ただし、乗り物の中は、照明が暗い、明るさが頻繁に変化して文字がちらつく、動く文字を目で追うなど、通常より目に負担がかかることが多く、視力低下の原因となることがあります。

カラコンをつけると乱視になる?

カラコンが乱視の直接的な原因となることはありません。ただし、誤った使い方(期限を守らない、長時間つけるなど)をしたり、目に合わないものをつけていたりすると、角膜が傷つくなどして乱視になる可能性があるので、注意しましょう。

コンタクトレンズを安全にご使用いただくために

  1. 眼科医より処方、指示を受け、それをお守りください。
  2. 製品に添付されている使用者向け添付文書を必ず読み、熟知ください。
  3. 装用時間、装用サイクルをお守りください。
  4. 取扱方法等を守り正しくご使用ください。
  5. 定期検査を少なくとも年に1回以上お受けください。
  6. 眼科医の処方、指示に基づき購入するよう努めてください。
  7. 少しでも異常を感じたら直ちに装用を中止し、眼科医の検査をお受けください。
  8. 破損等の不具合があるレンズは絶対に使用しないこと

監修:阿川 毅

2002年 東京医科大学卒業
2002年 東京医科大学眼科入局
2010年 蕨市立病院眼科医長
2011年 立川綜合病院眼科医長
2013年 西東京中央総合病院眼科医長
2018年 戸田中央総合病院眼科部長

専門分野:網膜硝子体疾患

資格 (専門医等):日本眼科学会眼科専門医
所属学会:日本眼科学会 日本網膜硝子体学会

参照リンク:
https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/shinryo/ganka/staff/1495.html
https://www.chuobyoin.or.jp/doctor/
%E9%98%BF%E5%B7%9D-%E6%AF%85/