メガネ、コンタクトともに、度数は視力を矯正するために必要なレンズの強さを表す数値のことを指します。度数が高い(数値が大きい)ほど、矯正力が高いです。
では、メガネとコンタクトの度数は同じなのでしょうか?今メガネを使っていてコンタクトにしたい場合や、その逆の場合、同じ度数で製品を購入してもよいのかなどを解説します。
メガネとコンタクトの度数は違う!
結論からお伝えすると、メガネとコンタクトの度数は異なります。これは、レンズと目の距離が違うためです。
たとえば近視の場合は、レンズが目から離れれば離れるほど矯正力が弱くなるため、メガネのほうが度数が高いものが適していることが多いです。
また、コンタクトは、1人1人の目に合わせてレンズの曲がり具合や大きさ、厚みなどもふまえて数値が導き出されるので、同じ度数の人でも、同じコンタクトが合うとは限りません。
コンタクト→予備メガネなら同じ度数でもよい
普段はコンタクトを使っており、予備や、自宅で短時間かけるためだけにメガネを使いたいときは、コンタクトと同じ度数のメガネにする方法もあります。ただ、コンタクトと同じ度数を使うと強制力が弱くなり、見え方が悪くなるためおすすめはできません。
メガネやコンタクトの度数を表す記号・数値
そもそも度数さえわかればメガネやコンタクトが購入できるわけではありません。メガネやコンタクトの度数や形を表す指標は以下のようにさまざまなものがあります。
眼科で検査を受けると、処方箋(装用指示書)をもらうことができ、そこに以下のような情報が記載されています。

上記のように、コンタクトにはあるのにメガネにはない数値、メガネにはあるのにコンタクトにはない数値などもあるので、メガネならメガネ、コンタクトならコンタクトのために、検査を受けてデータを取得する必要があります。
メガネ・コンタクトの度数を測る方法
メガネやコンタクトの購入に必要な度数を測るには、基本的には眼科に行きましょう。ただし、メガネの場合はお店で検査を受ける方法もあります。詳しくは以下の通りです。
眼科で検査を受ける
眼科では、一般的な視力検査以外に、さまざまな機器や検査によって、視力をはじめ、必要なデータを出してもらえます。
なお、コンタクトの場合は眼科受診が必須です。目に直接触れるものなので、コンタクトがつけられる状態の目であるか、病気がないかなども確認してもらうために受診が必要となります。
メガネのお店で検査を受ける
メガネの場合は販売店で視力測定が可能です。度数などの必要なデータを調べ、適切なレンズを教えてもらうことができます。
そのままメガネを購入し、即日メガネの引き渡しが可能なお店もあります。
コンタクト⇔メガネで度数を導き出す方法
コンタクトとメガネの度数は異なるとお伝えしましたが、実は、どちらか一方からもう一方の度数をおおまかに導き出すことは可能です。
遠視・近視度数を導き出す方法
遠視・近視度数を導き出す方法としては、換算表を使う方法と、計算式を使う方法があります。
換算表を使う方法
おおまかな近視度数、遠視度数は換算表で導き出すことができます。ただし、眼球の形などによっても異なるので、あくまで参考程度にしてください。
また、頂点間距離(メガネにおける目とレンズの距離)によっても異なるので注意しましょう。

計算式を使う方法
以下の計算式で導き出すこともできます。
コンタクト度数=メガネ度数÷(1-0.012×メガネ度数)
メガネ度数=コンタクト度数÷(1+0.012×コンタクト度数)
なお、「0.012」は、頂点間距離「12mm」を意味しています。
この数値は換算表の数値と近いものの、完全一致するわけではありません。こちらもあくまで目安でしかない点を理解しておきましょう。
乱視度数を導き出す方法
乱視度数、乱視軸は、コンタクトでもメガネでも同じ数値が使えます。
コンタクト→メガネなら「PD」も必要
瞳孔間距離(PD)とは、右目の黒目の中心から左目の黒目の中心までの距離のことです。メガネに必要となる数値です。
自分のPDを知るためには、定規を使って右目の黒目の中心から左目の黒目の中心までの幅を測るという方法があります。定規を当てて写真を撮ってから目盛りを読むと読みやすいです。
メガネ→コンタクトなら「BC」「DIA」も必要
コンタクト特有の指標として、BC(ベースカーブ・コンタクトの球面の曲がり具合)、DIA(ダイア・コンタクトの直径)があります。
BCは眼科で測定する必要があり、DIAはだいたい14mm前後が一般的となります。ただ、いずれもたくさんの種類から選ぶわけではないので、あまり気にしなくても良い数値となります。
コンタクト⇔メガネで度数を導き出すのはよくない
前述の通り、換算表や計算式を使えば、ある程度の度数を導き出すのは可能です。ただし、 コンタクトでは乱視度数を入れていなくても、メガネでは乱視度数を入れる必要があるなど、メガネとコンタクトで矯正の仕方が変わることがあります。
そのため、メガネならメガネ、コンタクトならコンタクトのために、実際に度数を測定するのが確実です。
度数が合わないメガネやコンタクトを使うリスク
コンタクト⇔メガネで度数を導き出し、安易に度数が合わないメガネやコンタクトを使うと、さまざまな視力低下や不調の原因となります。詳しくは以下の通りです。
視力低下
度数が合わないメガネやコンタクトを使うと、無理してピントを合わせようとするなど、目に負担がかかります。すると、さらに視力が下がることがあります。
眼精疲労による不調
目に負担がかかり、眼精疲労(目の疲れが慢性的に続くもの)になることがあります。眼精疲労になると、体にも不調があらわれることがあります。たとえば、肩こり、頭痛などです。
メガネとコンタクトそれぞれのメリットは?
最後に、メガネとコンタクトのそれぞれのメリットを見ておきましょう。
メガネのメリット
- ケアの手間が少ない
- 手軽につけ外しできる
- 長時間使用しても負担になりにくい
- ファッションアイテムにもなる
- 近くを見るときに調節が少なくて済む(老眼が始まるとコンタクトレンズよりも近くを見るのが楽)
- 花粉などの飛沫を防ぐことができる
- 外傷時に保護になる
- 眼球の乾燥を防ぐ
コンタクトのメリット
- 裸眼に近い感覚で視力矯正ができる
- レンズと目に距離がないので、物の大きさが違って見えたり、視界がゆがんだりすることがほとんどない
- 顔の印象が変わらない
- 視野が広い(メガネが約120°に対し、コンタクトは約180°)
- レンズ曇りなどを気にする必要がない
- スポーツのときにも使いやすい
- カラコンを使えば顔の印象も変えられる
このように、メガネにもコンタクトにもそれぞれでメリットがあるため、自分に合ったものを選びましょう。
コンタクトレンズを安全にご使用いただくために
- 眼科医より処方、指示を受け、それをお守りください。
- 製品に添付されている使用者向け添付文書を必ず読み、熟知ください。
- 装用時間、装用サイクルをお守りください。
- 取扱方法等を守り正しくご使用ください。
- 定期検査を少なくとも年に1回以上お受けください。
- 眼科医の処方、指示に基づき購入するよう努めてください。
- 少しでも異常を感じたら直ちに装用を中止し、眼科医の検査をお受けください。
- 破損等の不具合があるレンズは絶対に使用しないこと